妄想炸裂小説劇場「タガタメ」
地中深く掘った落とし穴のごとき穴の底で、
バラバラと降りかかる土を浴びながら、
うすれゆく意識のなかで俺はかすかに笑ったように思う。
なぜこんなことに・・・。
話は、2時間ほど前にさかのぼる。
ボスが俺に言った。
「地面に深い穴を掘りたいんで、シャベルとバケツとロープを持ってきてくれ(^ ^)/」
俺は命令通り、倉庫からシャベルとバケツとロープを探しだし、
ボスのところに持って行った。
ボスは言った。
「じゃあ、よろしく!!(^ ^)/」
よろしく??(- -;)
俺が掘るのか??
・・・まあしかたない。
俺は地面に穴を掘った。
シャベルで堀り、バケツに土を入れ、ロープでバケツを引き上げてもらう。
一心不乱に掘った。
でも、俺は思った。
ここには何かが足りない。
決定的な何かが不足している。
それがなんなのか、知っているはずなのに思い出せない。
深く深く掘り下げて穴はかなりの深さになった。
ふと俺は思う。この穴はなんの穴なのか。
俺はボスに問う。
「ボス!!これはなんの穴なんですか??こんなに深く掘って・・・」
上にいるボスが大きな声で言った。
「それはお前の墓穴だよ(^ ^)/」
そうか、おれは自分の墓穴を自分で掘ってたわけだ。
自分の墓穴を自分の墓穴と気づかずに・・・
いや、
気づけたはずだ。
心の底では気づいてたはずだ。
ここには何かが足りない。
やっと気づいた。
穴から登るためのハシゴが足りなかった
(- -;)
バラバラバラバラ
ボスが土を穴に戻し始めた。
バラバラバラバラ
自分で掘った(掘らされた)墓穴に埋まりながら、
薄れゆく意識の中で、おれはかすかに笑った気がする。
・・・・・
・・・・・
・・・ハッ!!!(- -;)
夢か!!
真昼間から夢を見たのか??
いや、真昼間から妄想してたらしい(笑)
我に返った俺は、苦笑いして、つぶやいた。
つまりこういうことだよな(笑)
??
・・・話は30分ほどさかのぼる。
ボスが俺に言った。
「缶馬(缶下駄)つくりたいから、大きな缶と、缶の穴あけ道具、それとしっかりしたロープ持ってきて!!(^ ^)/」
俺は命令通り、倉庫から大きな空き缶と穴あけのためのドライバー及び金槌、そしてナイロン製の太いロープを探しだし、
ボスのところに持って行った。
なにかが足りない気がする。
決定的になにかが不足している気がする。
ボスはそろった道具を眺めて、満足そうにこういった。
「じゃあ、よろしこ!!(^ ^)/」
(- -;)
よろしこ??
せめてよろしくでしょ・・・
俺は気づいたんだ。
自分の墓穴を自分で掘らされ、
最後に、
「よろしこ(^ ^)/」
の一言で、みごとにそこに突き落とされたことを。
気付けなかったのか??
いや、気づけたはずだ。
ここには決定的に何かが不足していたことを。
気付いていたはずだ。
ボスの「自分でできるもん!!」精神が決定的に欠如していることに、
気付いていたはずだ(- -;)
俺は遠くを見つめながら、
ふっと意識が遠のいていくのを感じた・・・・
なお、俺は与えられた仕事は、愚痴をこぼしつつも責任をもってこなす。
それだけは言っておきたい。
※この小説(笑)は真実でありフィクションです。
どこからどこまでが妄想で、どこからどこまでが真実かは
ご想像にお任せします(笑)